下に続く
アクレイド「……うーん、参ったなぁ。またもや道に迷ってしまった」
ガエン「……迷ったどころの騒ぎではないぞ。シュテドニアスに、こんな植物は生えていたか?」
アクレイド「かなり大きい国だからね。こういう気候の場所もあるよ。それにしても、店を探していてこんな場所に出るなんて……シュテドニアスって不思議な国だなぁ」
ガエン(もしやこいつは……マサキレベルの方向オンチか?)
アクレイド「いやぁ、どうも最近、勘が冴えなくてね。申し訳ない」
ガエン「勘がどうこう以前の問題だ。昼飯を食いに行くだけで、なぜこんな所にまで出なければならん」
アクレイド「山奥にひっそりと建つ、立派な料理店があると聞いて、少し気になっていたんだよ。下見も兼ねて、一度自分で行ってみようと思っていてね」
ガエン「……その為だけに、俺を連れ出したと言うのか」
アクレイド「サンドリーブ姉妹が出かけている間、君だけ暇そうにしていたからね。こもっているのは退屈かと思って」
ガエン「……こんな所をうろつくくらいなら、部屋で詰将棋でもしていた方がよほど有意義だったんだがな。双子の里帰りに付き合わされたのが、ケチの付け始めだったか……」
レッフェン「……それでお前達は、首都を抜け出して来たのか」
ニコ「抜け出してないよ。ちゃんと許可は取ってるし」
リコ「せっかくの里帰りだから、おじさんにも会っておきたくて」
レッフェン「ふむ……許可を取っているのなら、私もとやかく言うつもりはないが。ただ、ゆっくりはできんな。本当なら稽古でもつけたいのだが」
リコ「忙しいの?」
ニコ「何か、任務とか?」
レッフェン「ああ、ちょうどこれから、出勤するところだ」
ニコ「なら、あたし達も一緒に行く!」
リコ「手伝わせて!」
ロヨラ「軍の任務は、子供の遊びではない」
リコ「あっ……ロヨラ……?」
ニコ「なんで、あんたがここに……」
ロヨラ「アンティラス隊との戦いによって、処分を受ける事にはなったが、軍を追われるまでには至らなかった。シュテドニアスにとって私は、そうまでして引き止めるべき必要な人材だという事だ」
リコ「……辞めちゃえばよかったのに」
ニコ「もう好き勝手な事しないでよね」
ロヨラ「部外者でありながら、軍の作戦に参加しようとするほど、身勝手ではないつもりだがな」
ニコ「そういう事なら、おじさんの弟子として参加する!」
ロヨラ「何……?」
リコ「おじさんの弟子として、修行の一環でなら、いいでしょ?」
ロヨラ「なかなかの師匠想いの弟子を持ったようですな、将軍。部外者を関与させるのは私は反対したいところですが……さて、いかがなさいますかな?」
レッフェン「彼女達は部外者とも言い切れん。アンティラス隊に出向してはいるが、いまだに彼女達はシュテドニアス人だ。我が軍の作戦行動への協力についても、あらかじめ取り決めがなされている」
ロヨラ「私が懸念しているのは、法的な意味ではなく、もっと実務的な意味での問題ですよ。……何らかの問題が生じた場合は、将軍の責任という事になりますが」
レッフェン「……そういう大佐こそ、問題を起こしてくれるなよ」
ロヨラ「ふっ……承知していますよ。私にも立場がありますのでね。そもそも今回の作戦自体、復帰した我々2人のハク付けの為、回ってきたようなもの……それを無為にするつもりはありませんよ」
ニコ「それじゃ、いいの?」
レッフェン「ああ、お前達はいずれ、軍を担う立場になる身だ。その為に経験を積んでおくのは、決して悪い事ではないからな」
リコ「やったぁ!」
ニコ「それで……どんな作戦?」
ロヨラ「軍内部の監視体制を強化した結果、物資の横流しが発覚した。書類上は正規の払い下げだが、武器や弾薬、果ては魔装機までもが違法な業者に売り渡されているようだ」
リコ「それって、いけない事……」
ニコ「……許せない!」
ロヨラ「既に容疑者は特定しているが、物的証拠を欠いている」
レッフェン「我々は横流しの現場に向かい、関与している者を現行犯で摘発する。魔装機部隊で現場を包囲し、私と大佐で直接犯人を確保する予定だったのだが……」
ニコ「それを手伝えばいいのね!」
リコ「大丈夫、任せて」
ロヨラ「随分気楽な様子だが……くれぐれも作戦行動の妨害だけはしない事だな」
レッフェン「……今回、作戦の指揮官は私だ、大佐こそ勝手な行動は慎むのだな」
ロヨラ「……承知していますよ」
レッフェン「では、2人とも直ちに出撃準備!私の指揮下に入ったからには、決して甘やかしはせんぞ!」
ニコ「了解!」
リコ「大丈夫!頑張るから!」
違法取引摘発作戦
シュテドニアス兵「注文の品、確かに渡したぜ」
ブロウ「軍の機体に違いねぇな。結構な代物じゃねぇか」
シュテドニアス兵「そりゃもう、ブロウさんには日頃からお世話になってますから」
野盗「こいつはすげぇ……作業用の魔装機とは全然違う!」
ブロウ「ああ……戦闘用の魔装機がありゃ、いろいろと融通が利くってもんだ」
ブロウ(今はチンケな仕事が精一杯だが、こうやって力をつけていきゃあ……誰かの思惑に弄ばれたり、こき使われたりしねぇだけの、権力を握る事だって……!)
レッフェン「ちょうど受け渡しの最中だったか、この状況では、言い逃れはできんぞ」
ブロウ「なっ、ヤツらは……!?」
ロヨラ「我々はシュテドニアス軍だ、このエリアは既に包囲している。抵抗する場合、実力で制圧する」
リコ「大人しく降伏した方がいいよ」
ニコ「悪いことしたなら、反省して!」
野盗「シュ、シュテドニアス軍!?」
ブロウ「てめぇら、ハメやがったのか!?」
シュテドニアス兵「ち、違う!そうじゃない!俺達だって、捕まったらおしまいだ!」
ブロウ「なら、ドジ踏みやがったか……使えねぇ連中だ!」
野盗「ど、どうするんですかブロウさん!早く逃げないと俺達……!」
ブロウ「てめぇはバカか!今更逃げたところで、包囲網に引っかかるだけだ!それよりは連中の誰かを捕まえて、人質にする方がまだマシだ!」
レッフェン「ふむ……確かに逆にの立場なら、それが最善の手だと考えるな。だが、そう易々と好きにできる相手だとは思わん事だな!」
ロヨラ「フッ、投稿する気がないのであれば、実力を以って排除せねばなるまい」
ニコ「悪い人はやっつける!行くよ、リコ!」
リコ「任せて、お姉ちゃん!」
戦闘開始(味方が一機でも撃墜されたらゲームオーバー)
ニコ戦闘前台詞
ニコ「大した事ない相手だけど……悪いヤツなら、容赦はしないよ!」
ニコ撃墜台詞
ニコ「そんな……!?あんなヤツらに負けちゃうの!?」
対ブロウ戦闘前台詞
ニコ「さーて、悪者は退治しないとね!」
ブロウ「チッガキが……!ザケてんじゃねぇぞ!」
リコ戦闘前台詞
リコ「これでちゃんと、反省してね!」
リコ撃墜台詞
リコ「きゃあっ!堕とされちゃうなんて……!」
対ブロウ戦闘前台詞
ブロウ「ガキが出て来やがって!死にてぇのか、あぁ!?」
リコ「怖がらせようとしたって、無駄!」
レッフェン戦闘前台詞
レッフェン「軍規の乱れは治まらぬな。ラングラン侵攻の頃から既に、兵士の不法は散見されていたが……悪事の芽はこうして、1つずつ摘んでゆかねばな」
レッフェン撃墜台詞
レッフェン「くっ……歳には勝てぬか……!」
対ブロウ戦闘前台詞
レッフェン「貴様が主導していたようだな。余罪も含めて追及させてもらうぞ!」
ブロウ「ちっ、軍隊の連中め!てめぇらも好き勝手やってるクセに!」
ロヨラ戦闘前台詞
ロヨラ「やれやれ、心は痛むが……治安維持の為には自国民といえども、徹底的に駆除セねばならんな」
ロヨラ撃墜台詞
ロヨラ「エウリードⅡの問題点、結局解決できず仕舞いか……!」
対ブロウ戦闘前台詞
ブロウ「ちっ、軍の人間だからって、それだけで勝てると思うなよ!」
ロヨラ「ふっ……勝算は私の方にある!」
1ターン経過
ニコ「ねぇ……味方がここを包囲してるって言ってたけど……みんなで一気に取り囲んだりはしないの?」
レッフェン「同じ機体同士で乱戦になると敵味方の判別が困難になる。故に直接の制圧は我々だけで行わねばならんのだ」
リコ「エウリードやキョウメイなら、他の人は使ってないから大丈夫、かぁ」
ロヨラ「少し想像すれば分かる事を。余計な気を回す前に、敵機に集中するのだな」
ニコ「言われなくても、分かってる!」
リコ「……やっぱり、やなヤツ」
ブロウ撃墜台詞
ブロウ「ちっ……軍隊なんぞが、出張って来やがって!正義の味方気取りかよ……!」
戦闘終了
レッフェン「全て片付いたようだな」
リコ「操者の人達は?」
ロヨラ「待機中の味方部隊が脱出ポッドの回収に当たった。全員確保の連絡があった」
ニコ「じゃ、これで任務完了だね」
リコ「よかったぁ」
レッフェン「では、被疑者を連れて、基地まで撤収するとしよう」
リコ「悪い人はみんな捕まえたし」
ニコ「作戦、成功だね!」
レッフェン「うむ……この目で確かめたが、2人とも腕を上げているな」
リコ「でしょ?」
ニコ「あのくらいなら楽勝!」
レッフェン「む……自身を持つのはいいが、慢心してはいかんぞ。せっかく教えた新たな技も、使えていなかったようだしな」
ニコ「それは……まだ練習中なだけ!」
リコ「もっと、大事な時に使うから」
レッフェン「それでなくとも2人には、技を磨く余地が大いにある。全ての経験が糧になるよう、常に研鑽を積まねばならんぞ」
ニコ「うー……お説教は……」
リコ「年寄りくさくて、嫌い……」
ロヨラ「おや、将軍……まだこんな所にいらっしゃったとは」
リコ「ロヨラ……それに、そっちは……」
ブロウ「……………」
ロヨラ「ブロウ・ティゴール……先の事件の首謀者だ。取調べを終えたところだが……
ただの地上げ屋風情が、大それた事をしでかしたものだな。身の程をわきまえぬ愚か者が」
ブロウ「……っ!てめぇっ!!」
シュテドニアス兵「貴様ぁっ!抵抗するな!」
ブロウ「くっ……!」
ロヨラ「兵士の方は軍法に照らして適切な処罰を下すのみだが……
それ以外の連中は仮にも民間人、勝手に処分するワケにはいかん。このような下劣な人間でもな」
リコ「じゃあ、これから裁判?」
ロヨラ「手続きが整い次第だがな。それまでは一時的に、この基地で拘置する事になろう。
さて、私はそろそろ失礼する。作戦の事後処理が済み次第、ネミベアに向かわねばならんのでな」
ニコ「どうして南部に?」
ロヨラ「南部方面軍の司令補佐として赴任せよとの司令が来たのだよ」
レッフェン「司令補佐か……閑職だな」
ロヨラ「それは平時においての話ですが……まぁ、南部は地元のようなものです。せいぜい羽休めさせて頂きますよ。
では、私はこれで」
シュテドニアス兵「さあ、付いて来い!」
ブロウ「…………」
ブロウ(ちっ……このまま大人しく、ブタ箱行きにされてたまるかよ!必ず隙を見つけて逃げ出してやる……そのついでに軍の魔装機でも盗み出す事ができりゃ……!)
リコ「……行っちゃった」
ニコ「……おじさんは?」
レッフェン「私はこれから、ベイレン要塞に赴任する事になっている」
リコ「それ、首都近くの要塞だよね?」
ニコ「なら、あたし達もついでに、そこまで一緒に行くよ」
レッフェン「そういう事なら構わんが……あまりバロム議員とガエン君を待たせてはならんぞ」
ニコ「あの2人なら、大丈夫だと思うけど」
リコ「美味しい物を食べに行くって言ってたし」
レッフェン「む……あの2人がか……想像しがたい部分もあるが……ともかく、すぐに出発するぞ。急いで準備を済ませるのだな」
ニコ「うん、分かった!」
リコ「それじゃ、準備してくるね!」
レッフェン「…………
復隊に多少のためらいはあったが、国の為に働く事ができ……
そして、あの2人の成長を、間近で見守る事ができるのだ。何とも、喜ばしい事だな……」
アクレイド「お腹がはちきれそうだ……いくらなんでも食べ過ぎたな。ちょっと頭が回らないや……」
ガエン「随分と、量の多い料理店だったな」
アクレイド「それにしてもガエンが僕と同じ量を食べるなんて。食べそうには見えないけど……」
ガエン「普段は必要以上の栄養を摂取する事はないが……
多く食べる訓練はしている。どんな量を食おうとも、死ぬまで限界を迎える事はない」
アクレイド「教団の実行部隊にいた頃の話か。教団じゃ……そんな事まで……」
ガエン「……どうでもいい話だ。それより……ここはどこだ?首都に戻るのではなかったのか?」
アクレイド「山の中に変わったメニューを出す喫茶店があると聞いて、少し気になっていたんだよ。
食後にデザートを入れていこうと思ってね」
ガエン「なっ……!?まだ食うつもりか!?」
アクレイド「えぇ。甘い物は別腹ですから」
ガエン「……………」
ガエン(アクレイド・バロム……やはり、油断できん男だ……!!)